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国際福祉機器展が終了して、1ヵ月近くがたちました。その後もcyber showcase blogにhiroさんやminoさんが次々にアップするエントリーを読み、展示会の熱気をなつかしく思い出しています。
国際福祉機器展で毎年のように感じるのは、開発者の熱い想いと来場者の熱心さ。さらに今回は、パナソニックブースのコンパニオンさんの気持ちの入った説明ぶりに目を見張りました。たとえば、エントリーでご紹介した「レッツ・チャット」のコーナーで、ひときわ熱心に説明しているコンパニオンの女性にお話をうかがったときのことです。彼女は大学の社会福祉学科の学生さん。「卒業前の記念に」と国際福祉機器展のコンパニオンのオーディションを受け、このコーナーに配属されたそうです。大学で障がい者施設や高齢者施設での実習もありますし、福祉機器やそれを使われる方々のことも知識として学んでいたのですが、「レッツ・チャット」を目にしたときはとても感動したとか。
「授業でも言語や上肢に障がいのある方の介助方法を学んでいましたが、“●●が食べたい”とか“●●をしてほしい”といった細かな要望は、なかなか介護する側に通じないんです。それがレッツ・チャットさえあれば、全部解決してしまう。レッツ・チャットがあれば人生が変わってしまう人が、きっとたくさんいらっしゃると思います」
ほかにも彼女は「レッツ・チャット開発者の松尾さんの熱意がスゴイ」ことや、「車いすの来場者の方にうまく説明できなくて、すごく悔しい」ことなどを、語ってくれました。
「レッツ・チャット」のすばらしさは私も以前から知っていましたが、コンパニオンさんの話を聞いているうちに、優れた福祉機器がこんなにも人を感動させるものなのだ、と新しい発見をすることができました。大学の福祉学科といえば、自治体などの福祉・介護部門に多くの人材を輩出するところ。その学生さんが国際福祉機器展にコンパニオンというかたちで参加してくださったのもうれしいですし、3日間でとても多くのことを感じ、学んでおられたことも印象的でした。そして、私自身もそんな若い人たちの姿から、感動をいただきました。
「レッツ・チャット」コーナー以外でも、胸の温まる想いを何度も味わうことができました。入浴介護用品コーナーで、いつも両膝を床について来場者に説明している男性説明員。聴覚障がいの方が見ていてくださるかどうかわからなくても、コンセプトステージで毎回懸命に通訳しておられた手話通訳の方。来場者が骨伝導コードレス子機の聴こえを体験する間、ずっと生の声で受話器にメッセージを送り続けていた説明員の方は、1日の終わりにはきっと声が枯れておられたことでしょう。こんなスタッフの方々の「福祉機器のことを伝えたい!」気持ちがブースに凝縮されていたように思います。
3日間に渡り、いろんなことを教えてくださったパナソニック関係者のみなさん、大変お世話になりました。そして、つたないブログを読んでくださった読者のみなさま、ありがとうございました。来年もまた国際福祉機器展からレポートできることを楽しみにしています。
国際福祉機器展の閉幕から5日たちました。会場の余韻がまだ私の中に残っている中、早くも動画レポートがアップしました。毎回思うのですが、展示会の雰囲気やブースの様子、展示品の動きなどを伝えるのに、動画は本当に役立つツールです。特に福祉機器は製品を見ただけでは使い方がわからないものもありますので、動画が威力を発揮します。ぜひ、ご覧になってくださいね!
動画の撮影は来場者が混雑してくると難しいため、今回も動画チームは来場者が少なくなる時間帯を狙って、撮影を敢行。誰もいなくなったブースで深夜まで撮影されていたようです。睡眠不足をものともせずにがんばられた動画チームのみなさん、お疲れさまでした!
| (1)自立する高齢者をサポートする機器 パナソニックの家電製品が自宅で元気に過ごされるご高齢者をどのようにサポートするのか、ご紹介しています。ラクな動作で使えたり、操作がカンタンであったり、家電製品にもご高齢者への細やかな配慮が隠されていることがわかります。 |
| (2)最新の福祉機器と研究開発 介護ベッドとマットレス、入浴用品や排泄用品、さまざまなコミュニケーション機器など、福祉機器の最新情報をご紹介しています。参考出品されている入力支援型テレビリモコンや介護予防向け電気刺激筋力トレーニング機器などは、最先端の研究開発情報です。ぜひ動画でご覧ください。 |
先ほどから「蛍の光」のBGMが会場内に流れています。今年の国際福祉機器展もあっという間に過ぎてしまいました。毎年そうですが、国際福祉機器展は来場者が熱心に展示品をご覧になり、説明を求め、質問をすることが少なくありません。もちろん質問するだけでなく、ご自分の意見をしっかりおっしゃる方も多いようです。ブースでお聞きしたご意見は、今後のパナソニックのモノづくりに活かされていくことと思います。
また、今年はこれまで使われてきたナショナルブランドが、パナソニックという世界統一ブランドに統合されていく節目の年でもあります。これまでオレンジだったコンパニオンさんのユニフォームがブルーに変わりましたし、ブース全体のデザインもデジタル機器を連想させるブルーイメージが強くなり、私も当初は「これまでと雰囲気が違うな」と感じていました。しかし、3日間ブースの中で過ごしてみて、福祉機器を担当する人たちになんら変化があるわけではないことがわかりました。当たり前のことですが、ブランド名が変わっても、福祉機器に関わる姿勢やモノづくりにかける想いが変わるわけではないのです。
| 最初から福祉機器にくわしいコンパニオンさんというのは、そうそういらっしゃるわけではないと思います。しかし、3日間来場者に接し続けているうちに、車いすの方には自然と目線を低くしてお話するようになりますし、福祉機器の知識もどんどん深まっていきます。 |
コミュニケーションサポートコーナーで立ち止まり、ヘッドホンをつけたり、電話の子機を顔のあちこちに当てたりされる来場者をたくさん見かけます。その理由は、デジタル補聴器「ONWA」と骨伝導タイプのデジタルコードレス子機のデモンストレーション。補聴器も骨伝導電話機も昔からある福祉機器ですが、着実に進化しています。実際に自分が体感してみると、最新の福祉機器の威力がわかります。
テレビはご高齢者のなによりの楽しみ。少しでも使いやすくなるようにと、これまでパナソニックでは「簡単テレビリモコン」を提案してきました。体に不自由はないものの、複雑な操作が理解できない、あるいは必要がないという、私の両親のような高齢者がターゲットです。
しかし、複雑な操作は理解できても、体が思うように動かず、リモコン操作ができない方も全国で50万人以上いらっしゃるそうです<※>。そんな方々のために、「レッツ・チャット」「レッツ・サウンド」と上肢障がい者向けの機器を開発してきたパナソニックの社内ベンチャー企業・ファンコムが、「入力支援型テレビリモコン」を参考出品しています。テレビの操作だけでなく、ビエラリンクを使えばDVDレコーダーも操作ができるので、「ひとりでできる」範囲がぐっと広がります。
※平成20年度版障害者白書より算出
「入力支援型テレビリモコン」も「レッツ・チャット」や「レッツ・サウンド」と同様、さまざまな入力スイッチを接続できます。操作の要領は「レッツ・チャット」と同じ。テレビリモコン上のボタンが4つのグループに分けられ、スイッチを押すと左から順にグループごとに光が点滅します。もう1度スイッチを押してグループを選択すると、次はグループ内の個別のボタンが順番に光ります。自分が使いたいボタンが光ったら、またスイッチを押して選択。これを繰り返します。「レッツ・チャット」と同じにしたのは、スイッチひとつでさまざまな機能を使いこなすには、これが最適な方法だと考えているからだそうです。
| 来場者に使い方を説明するファンコムの松尾さん。この来場者の方はご自分の手の甲で操作され、目の前のテレビ画面が切り替わったのを見て、なんとも言えずうれしそうなお顔をされました。ファンコムのコーナーでは、3日間に渡ってこうしたシーンが繰り返されており、私もつい立ち止まって見入ることがたびたびでした。 |
| 「入力支援型テレビリモコン」も「レッツ・チャット」「レッツ・サウンド」に続いて、9月26日付の日経産業新聞に登場しました。 |
高齢になり、つらい動作が増えると、掃除をするのが大変になります。さらに視力が衰えて、部屋の汚れ自体が見えづらくなりますから、ますます掃除の回数が減ってしまいます。また、高い場所や手の届きにくい場所に設置された家電製品を定期的にメンテナンスするのは、若い世代でも面倒なもの。体にムリが効かないご高齢者ならなおさらです。ここでは、お掃除やメンテナンスがラクな家電製品をご紹介します。
表題とは関係ありませんが、このエアコンで私が「いいな」と思ったのは「いるとこサーチ」です。「いるとこサーチ」とは、部屋の中で動いている人と、じっとしている人を高感度センサーが検知し、気流の向きを自動的に調節する機能。介護の現場でよく見かけるのは、介護する人は忙しく立ち働き、介護される人はベッドにじっとしておられるという光景です。夏場に忙しく動いている介護者にエアコン温度を合わせると、介護される人は寒く感じます。もちろん、介護される人の快適温度に設定するべきなのですが、中には強引に低い温度にされるご家族や、逆にガマンし過ぎて夏バテしてしまわれるご家族もいらっしゃいます。「いるとこサーチ」があれば、こんな問題も解決できるのではないかと、ふと思いました。
次に、汚れがつきにくく、掃除がしやすい全自動おそうじトイレ「アラウーノ」です。「アラウーノ」は便器=陶器という従来の常識を覆し、汚れがつきにくい有機ガラス系素材を採用した画期的な製品。さらに泡洗浄とスパイラル水流で、便器内の汚れを一気に洗い流します。また、製品自体に隙間がなく、部品の継ぎ目にホコリがたまらないのも美しさが保てる理由。トイレ掃除は誰でも憂鬱な作業ですし、回数が少なくすめばそれに越したことはありません。
| 洗浄時、便器内が泡でいっぱいになる様子を撮影しました(今年の展示は配水管工事までした本格的なものですので、本物の水流をご覧いただくことができます)。私も仕事でリフォーム取材などに行ったとき、トイレをアラウーノにリフォームされたお宅に時折出会います。リフォーム工事の設計担当者にお話を聞いてみると、「アラウーノに勝てるトイレはありません」という言葉が返ってきたこともありました。 |
年齢とともに見る力が落ち、耳が遠くなるのは、多くのご高齢者が経験されること。私事で恐縮ですが、私の父は75歳で白内障の手術を受けましたし、母も70歳になる前に補聴器をつけるようになりました。それどころか、私自身も40歳を過ぎてから、老眼になりつつあることを実感しています。小さな文字が読みづらい、暗い場所で視力がてきめんに落ちる・・・など、老眼街道まっしぐら。若い担当者が作ってくれた極小文字(?)の書類を読み取るのに、いつも四苦八苦しています。パナソニックの家電製品には、私の両親のような高齢者や私のような中年層にも見やすい・聞きやすい工夫がされているので、順番にご紹介していきます。
「レッツ・チャット」を愛用するユーザーのひとことが誕生を後押しした「レッツ・サウンド」
edited by mako at 2008年9月26日 13時29分
第35回 国際福祉機器展(H.C.R.2008)
「レッツ・チャット」に続いて、ファンコム株式会社が世に送り出した福祉機器が「レッツ・サウンド」です。パナソニックの携帯オーディオプレーヤー・D-snapに専用コントローラをつけることで、体のほんの一部分しか動かなくても、さまざまな入力スイッチを使うことにより、再生・停止・次曲・前曲・ボリューム調整がひとりでできるようになると考えました。もちろん、D-snapの機能はほかにもたくさんありますが、あえて「音楽をひとりで聴きたいけれど、機器の操作が自力でできず聴くことができない」人のためにシンプルな機能に絞ったそうです。
「レッツ・チャット」開発後、ファンコム・松尾さんには、いくつかの新しい福祉機器のアイディアが生まれていました。中でも、「ひとりで音楽が聴けるようになる福祉機器」の開発案が大きな比重を占めており、D-snapを利用して上肢障がいのある人が気軽に音楽を楽しめる製品を創り出そうと、試作品づくりに励んでいました。そんなところへ、昨年の「レッツ・チャット」のエントリーで紹介したあかりちゃんの手紙が届きました。
あかりちゃんは脊髄性筋萎縮症(ウェルドニッヒ・ホフマン病)という難病をもって生まれ、「レッツ・チャット」を愛用しています。そして、「レッツ・チャットのおかげで毎日楽しく友だちと会話ができる」と、松下電器産業の大坪社長あてに手紙を送ったのですが、その文面の中に「嵐コンサート行ったよ。(中略)嵐の歌ひとりで聞くきかい作ってね。お願いします」という一節がありました。この中の「嵐の歌ひとりで聞くきかい作ってね」という言葉が、松尾さんの思いと重なり、ますます製品化を加速させることになりました。
| 「レッツ・サウンド」も「レッツ・チャット」と同様、さまざまな入力スイッチを接続できます。ボタンが大きくて深いので、指先が思うように動かなくても、指の関節などで押すこともできそうです。 |
| 「レッツ・チャット」「レッツ・サウンド」が9月24日、25日の2日間連続で日経産業新聞の一面広告に登場しました。どんな方々に役立つものなのか、やさしいコピーで紹介されています。 |
言語障がい者、上肢障がい者向け携帯用会話補助装置「レッツ・チャット」は、上肢と言語の両方に障がいを持つ方向けに開発された、いつでもどこでも会話を楽しむための福祉用具。文字板に並んだあいうえお順のひらがな、「はい」「いいえ」「ありがとう」といったよく使う言葉を、入力スイッチを使って選択。言葉を液晶画面に映し出したり、音声で知らせたりします。ご本人が直接触れる入力スイッチは、手のひらや足や唇など、わずかに動く身体機能を利用して操作できるものがオプションで複数用意されています。
| 写真は頬を使って入力するホッペタッチスイッチ。ほかにも手首の動きだけで押せるスイッチや、足で踏んで押す足踏みスイッチなどが展示されています。 |
| 昨年の国際福祉機器展で私が取材したときと比べると、カタカナが入力できるようにマイナーチェンジ。細かなところでは、時刻表示の機能に曜日が加わるようになりました。これまでは年月日と時間だけだったのですが、「曜日ごとに来るヘルパーさんが違うから、曜日を表示してほしい」というユーザーの声を聞き、付け加えたそうです。 |
企画・販売を手がけるパナソニックの社内ベンチャー・ファンコム株式会社の松尾さんは、その人に合った操作方法をともに考え、会話する喜びをひとりでも多くの方に届けられるよう奮闘しています。しかし、いつもジレンマを感じているのは、「わざわざ入力スイッチなど用意しなくても、レッツ・チャット本体の文字部分を押せばいいじゃないか」と言う方がいらっしゃること。「まず本体まで手を伸ばせない方、たとえ手を伸ばせても指先がまったく使えない方、あるいは手も足もまったく動かせなくて頬や唇周辺のわずかな動きだけで操作する方がたくさんいらっしゃることを知ってほしい」と、松尾さんは訴えます。
私も含めて、人はつい自分を基準にものを考えがちです。しかし、それだけがすべてではないことを、「レッツ・チャット」が教えてくれているような気がします。
家具調ポータブルトイレ座楽は温水シャワーが付いたり、けこみの大きな丸いフォルムのものができたり、毎年新製品が楽しみなシリーズです。今年も新製品がたくさん発売されましたので、どこがどんなふうに変わったのか観察してきました。
| 左が新製品、右が従来製品です。足の先端の面積を広くして、畳やカーペットの上に置いても先端が食い込まないように工夫されています。 |
| 温水シャワー付タイプも展示されています。2年前の国際福祉機器展で初めてこのタイプを見たとき、画期的なことだと思いました。しかし、まだまだ業界でもご存じでない方が多いようで、今日も複数の施設関係の来場者が「ポータブルに温水シャワーってスゴイね」と話し合っておられるのに遭遇しました。 |
2006年に上肢リハビリ支援スーツ、2007年に手指用リハビリ支援グローブと、体の動きに合わせた最先端リハビリ器具を発表してきたのが、パナソニックの社内ベンチャーであるアクティブリンク株式会社です。今年のアクティブリンクの参考出品は、「介護予防向け電気刺激筋力トレーニング器具」。さっそく試させていただきました。
この器具、実は財団法人日本宇宙フォーラム<※>が久留米大学病院と九州工業大学に助成して開発中のものを、アクティブリンクが事業化推進しているそうで、そもそもは宇宙飛行士がISS国際宇宙ステーションに長期滞在する間、筋力が衰え骨密度が低下しないように訓練するために開発されたもの。
そういえば昔、宇宙基地に長期間滞在した宇宙飛行士が無重力空間に馴れてしまい、帰還後に地球の重力に逆らって立つことができず、数人のスタッフに抱えられて運ばれていく写真を見たことがあります。普段から鍛えている宇宙飛行士でも、筋肉を使わなければあっという間に衰えることを知り、驚いたものです。そして、これを介護予防に生かそうというアクティブリンクの発想にも「なるほど」と思いました。
ご高齢の方は1週間寝込んだだけで筋力が衰え、そのまま寝たきりになるケースがあるといいます。最先端のテクノロジーが、寝たきりになるご高齢者を1人でも少なくする。実現できれば、とてもすばらしいことだと思います。
「操作が簡単であること」は、ご高齢者にとって必須だと思います。家電製品の機能が増えるにつれ、本体やリモコンのボタンが増えて、ご高齢者にはストレスがあるのではないかと思います。特に老老介護の家庭なら、介護される側だけでなく介護する側もご高齢ですから、操作が難しいと、せっかくの家電製品の利点を生かせていないケースもあるでしょう。また、訪問するヘルパーも50代以上の方が結構多いですから、操作の難しい家電製品は敬遠されがちです。
| 今回の取材で知ったのですが、ななめドラム洗濯乾燥機の音声ガイドはなかなかのスグレモノです。音声ガイドのボタンを押すと、「スタートボタンを押してください」「衣類のからみをほぐしてください」といった女性の声が流れます。使い方がわからなくなったときや、次になにをすればいいのかわからないとき、重宝しそうです。また、音声ガイドボタンを2秒押しすることで、音量調節も可能です。 |
| オーブンレンジの操作も簡単です。大きめで目立つ黄色のボタンをクルクル回すと、左側の液晶画面に「グラタン、ハンバーグ、鶏の照り焼き・・・」といったおなじみのメニューが次から次へと出てきます。作りたいメニューが出てきたら、黄色のボタンを押すだけでスタート。とてもシンプルです。 |
人は誰でも高齢になると、屈んだり、背を伸ばしたり、中腰になったりという動作がだんだんつらくなってきます。私は30代半ばで腰痛もちになり、痛みがひどいときは座ることさえできないほどでした。今でも、足元にあるモノは、どんなに軽いモノでも1度ひざを曲げ、しっかり屈んでから取り上げます。腰だけ曲げて足元にあるモノをヒョイッと取り上げた瞬間、ぎっくり腰になった経験があるからです。1度こういう苦い経験をすると、人は慎重になります。ご高齢者はそんな経験を重ねて、「ムリな動作をしない。むやみに急がない」習性が身についておられる方が少なくありません。
自立して元気に過ごされているご高齢者でも、私のように体に不安を抱えておられる方は多いはず。毎日使う家電製品がご高齢者にとって使いやすければ、とてもありがたい話です。そこでパナソニックの最新家電には、どんなふうに動作がラクになる工夫がされているのか、リポートします。
| ななめドラム洗濯乾燥機は洗濯物を出し入れしやすい位置にドアが設定されています(車いすでもアプローチできる高さです)。ドアの開ボタンは大きくて押しやすく、洗濯カゴを持ったまま、ポンと押せますし、ゆっくり開いて安心です。また、洗濯カゴを洗濯機の上に置いてラクに出し入れできるのも、ななめドラムの特長です。 |
| ななめドラム洗濯乾燥機の横に、従来の縦型洗濯機をイメージしたモデルが置いてありました。底にあるカラーボールが洗濯物のイメージ。かなり前かがみになり、腕を伸ばさないと洗濯物に届きません。一方、ななめドラムは、身長158cmの私でも、洗濯物を取るために何度も腰を深くかがめる必要がなく、腰への負担も少ないと言えます。 |
昨年もお伝えした施設向けバリアフリー水まわりユニット「アクアハート」ですが、今年はコンパクトなのに2方向から介助できることが特徴のKシリーズが発売されました。入浴介助はさまざまな介助の中でいちばんの力仕事。介助される側ももちろん体力を消耗しますから、お互い慎重になり、緊張するものではないでしょうか。もちろん、2方向から介助の手があれば、介助する側もされる側も、より安心感が増すことは間違いありません。
| 1620mm×1620mmというコンパクトなスペースに浴槽を置き、ご覧のように横方向からも浴槽へアプローチできるようになっています。また、3枚引き戸の有効開口幅が936mmというのも、これまでになかった広さだそうです。両側から人に介助されて移動するとき、開口の幅が狭いととても不便。3枚引き戸は以前から便利だなと思っていたのですが、ますます進化しているようです。 |
| マイクロバブル洗浄のデモンストレーション。洗剤入りの水が勢いよく吹き出て、浴室の壁を洗うためのものです。これで洗うと壁をこすらなくても汚れが落ちるので、浴室の掃除時間が約半分になったとか。「浴室の掃除が大変」という施設の方の声を受けて、ご家庭向けの浴室に2年前から使われている技術を応用したそうです。 |
毎年ご紹介している介護ベッドですが、今年はブースの中でももっとも目立つ位置に、なんと3台も設置。これまで以上に力が入っていることが感じられます。昨年は介護ベッドとともに適度な反発があり、寝返りがしやすいマットレス「ラクマットエアー スリム」や「ラクマットエアー リバーシブル」が展示されていました。今年は、さらに新しい工夫が加えられた「ラクマットエアーDX」が参考出品されています。昨年ご紹介したものよりポリエステル繊維を太く、密度を濃くして、反発性を高めたそうです。私も寝転がって試してみましたが、確かにウレタンマットより起き上がりやすく、気持ちのいい硬さです。反発性以外にも高い体圧分散性能や通気性を備え、床ずれ防止に役立ちそうです。
マットレスは寝たきりの方ならほぼ1日中使うものですし、施設で利用されると激しく消耗します。いろいろな汚れがついたままになったり、ダニやカビの温床とならないように、定期的にメンテナンスが必要。「ラクマットエアーDX」は施設でも10年以上使える耐久性があり、まるごと水洗いできて乾きが早いのが大きな特徴です。ウレタンは水に濡れると1日では乾きませんが、「ラクマットエアー」シリーズはいかにも乾きがよさそう。実際、施設関係者やレンタル業者さんから、「一晩で乾くから助かる」という声が寄せられているそうです。
パナソニックブースの受付横のラックには、ブースのご案内パンフレットが置かれています。タイトルは出展テーマである「人にやさしいモノづくり」。中面はブースの展示マップです。会場に来られない方には、こちらからPDFをダウンロードしていただけます。展示マップを見ながらブログを読んでいただくと、展示品の位置関係がわかり、より臨場感が増すと思います。
| ご案内パンフレットの表紙を撮影しました。中面はぜひダウンロードしてご覧ください! |
コンセプトステージでは、毎時20分と50分にプレゼンテーションが行われています。プレゼンテーションの時間は約9分。冒頭にナショナルブランドがPanasonicブランドに統一されること、社名が変更になることが説明され、続いて「人にやさしいモノづくり」のテーマ説明がはじまります。「ユニバーサルデザイン6つの心配り」も登場しますので、パナソニックのモノづくりの姿勢がコンパクトにまとめられています。
幕間にはいくつかのコンセプト映像が流されています。パナソニックが全社を挙げて取り組んでいるエコ活動やCO2排出量削減のためのエコアイディアなども紹介されていました。ステージ前には必ず来場者用のイスが数脚用意されますが、デモンストレーション以外の時間は通常誰も座っていないもの。しかし、今年は幕間にも座って映像を見ている来場者をよくお見かけします。アンケートを記入している方もいらっしゃるようです(アンケート回答者には粗品を進呈しています)。
| 画面の左側に立っているのがナレーター、右側が手話通訳の方です。ブース内でも聴覚障がいをお持ちの来場者を時折見かけますが、通訳の方を中心に数人が輪になって会話されていることが多く、手話通訳を用意することの大切さを感じます。 |
キッチンから左側へ進むと、「動作がラク」な冷蔵庫、「操作が簡単」なオーブンレンジ、「安心・安全」なジャーポットが並んでいます。説明員やコンパニオンさんが横に立っていても、自分の手で確かめようと、冷蔵庫やオーブンレンジの扉を開いたり、ジャーポットからお湯を注ぐ来場者が少なくありません。
| 左から、ジャーポット、オーブンレンジ、冷蔵庫が展示されています。新製品のジャーポットには、熱いお湯が飛び散らないように工夫された「なめらか給湯」機能が搭載されており、従来製品と比較することができます。ジャーポットはご高齢者だけでなく、小さいお子さんも使いたがるものですから、熱いお湯がはね返りにくいのは、ヤケドする心配が少なくて安心ですね。 |
「自立する高齢者をサポートする機器」ゾーンに並ぶのは、おなじみのパナソニックの家電製品。ただし一般の量販店などの店頭とはちょっと違ったポイントで紹介されています。先のエントリーでもご紹介したとおり、ご高齢者の日常生活をラクにするようユニバーサルデザイン方針に基づいて作られているこれらの製品。「動作がラク」「お手入れがラク」「操作が簡単」「安心・安全」といった、ご高齢の方にとって大切な視点から丁寧に説明されています。
ブースの外から歩いてきたとき、最初に目に触れるのはブース正面のキッチンコーナー。ブース中央のアイランドをぐるりと取り囲むように展示されていますので、時計回りにご紹介していきます。
| 通路に面しているのは、「動作がラク」なキッチンです。IHが3台横並びになったパナソニックキッチンが展示されています。 |
出展テーマは今年も「人にやさしいモノづくり」。パナソニックのモノづくりの精神を少しご紹介します
edited by mako at 2008年9月24日 12時11分
第35回 国際福祉機器展(H.C.R.2008)
パナソニックブースの出展テーマは、今年も「人にやさしいモノづくり」。10月1日に社名が変更になり、ブースの呼び方が松下グループブースからパナソニックブースへ変わっても、創業以来のモノづくりの精神は変わらない。企業としてのそんなスタンスを、昨年と同じテーマで訴えているように感じます。
パナソニックには、ユニバーサルデザインの考え方をもとにしたモノづくりに対する「6つの心配り」という指標があります。その内容をご紹介します。
1. 理解しやすい操作への心配り
2. わかりやすい表示と表現への心配り
3. 楽な姿勢と動作への心配り
4. 移動と空間への心配り
5. 安全・安心への心配り
6. 使用環境への心配り
パナソニックの商品企画や開発を担当する人たちは、上の6つの心配りを常に念頭に置いて新製品を考えます。製品のデザインは単にオシャレであればいいのではなく、誰にでもわかりやすく、安全で、ラクな姿勢で使えるものでなくてはなりません。
今年のパナソニックブースの展示は大きく「コンセプトステージ」、「最新の福祉機器」、「自立する高齢者をサポートする機器」、の3つに分かれています。コンセプトステージではブース全体の概要を映像とナレーションで紹介。「福祉機器」ゾーンはパナソニックのモノづくりの精神を介護用品に活かした製品が展示されています。中には将来を見据えた研究開発を紹介するコーナーもあります。そして「自立する高齢者をサポートする機器」ゾーンでは、主に「動作がラク」「お手入れがラク」「操作が簡単」の3つの視点から家電製品をご紹介しています。私もただ単に製品を順番に紹介するのではなく、こうした切り口から家電製品の展示をご紹介できれば、と思っています。
天候不順でやたらと雷雨の多い最近の東京。しかし、今日はまぶしくなるぐらいの青空です。東京ビッグサイトには、いつにも増して、たくさんの来場者がいらっしゃるのではないでしょうか。
今年のパナソニックブースは東3ホール。展示場のいちばん奥の右側ですから、来場された方がご覧になる順番でも最後の方になると思います。私も経験があることなのですが、広い展示場を長時間歩き回って見学していると、だんだん目が肥えてきて、よほど目新しいモノがないと興味が湧かなくなってきます。パナソニックブースはそんな厳しい要望にも応える、バラエティたっぷりの展示になっているはず。これから張り切ってブースの情報を発信していきたいと思います。
| 会場に来るまでのゆりかもめから撮った今朝の東京ビッグサイトです。お天気のよさが伝わるでしょうか。車中からの撮影のため、見づらい部分はご容赦ください。 |
開幕直前レポート(2) ブースのあちらこちらで、最終調整やリハーサルが行われています
edited by mako at 2008年9月23日 16時35分
第35回 国際福祉機器展(H.C.R.2008)
午後3時台に入ると、ブースのあちらこちらに展示製品が並び、各担当者による最終調整がはじまります。コンセプトステージの隣にあるシステムキッチンの設置には、さすがに時間がかかるようで、5時台になってもまだ作業中。その間、コンセプトステージではリハーサルが何度も繰り返されました。また、今年はコンセプトステージ以外でもナレーターさんによるデモンストレーションがたくさん行われるようで、ブースのあちらこちらでリハーサル風景を見かけました。
| 車いす展示コーナーでは、担当者が車いすの車輪をキレイに拭いていました。いろんな場所に展示されるので、車輪部分の汚れが気になるそうです。明日はピカピカに磨かれた車いすが展示されると思います。 |
| ブース内デモンストレーションのリハーサルがはじまりました。ナレーターさんが私服のままなのが、開幕前ならではです。 |
いよいよ第35回国際福祉機器展の開幕が明日に迫りました。午後1時、パナソニックブースに到着すると、いつものように着々と準備が進んでいました。その中で見聞きした様子をレポートします。
| 会場の東3ホールに入っていくと、パナソニックブルーのファサードが見えてきます。いちばん早くできあがっていたのは受付コーナー。今は雑然としていますが、明日からここにコンパニオンさんが立たれるんですね。 |
| 今年は映像関係の設営が早く進んでいるようです。コンセプトステージのプラズマ大画面もすでに設置完了。パナソニックグループの「ユニバーサルデザイン6つの心配り」の画面が映し出されていました。手前の大型ジェラルミンケースが、いかにも映像関係者の持ち物っぽいです。 |
| ブース内をウロウロするうちに、あまり見かけない器具を発見。「これって配水管では・・・?」と思って周囲を見回すと、「自立する高齢者をサポートする機器」ゾーンのトイレコーナーで、配水管工事がはじまりました。 |
| 配水管工事のスタッフの方です。壁に10センチ四方の穴を開けておられました。一般的に、展示会ブースで配水管工事をするのはとても手間がかかるので、実際に配管を通すことはあまりないそうです。 |
| 1時間後、同じ場所を通りかかると、すでに工事は終わり、「アラウーノ」がきれいに設置されていました。本当に手早いです。これで全自動おそうじトイレ「アラウーノ」に、実際に水を流すシーンが見ることができます。来場者に実際に使っていただく状態を実感していただくために、普段は配管のない場所にまで配管を通す・・・展示会というのは、ここまで手間と時間をかけるものなんですね。 |
今月発表された厚生労働省の07年国民生活基礎調査によると、在宅で介護される家族のうち、3人に1人が70歳以上、80歳以上も全体の1割を占めるなど、「老老介護」がますます進んでいることがわかりました。核家族化で高齢者だけの世帯が増え、自然と介護する側もされる側も高齢者になっている現状が浮かび上がってきます。
老老介護はかなり以前から知られていましたが、さらに胸に迫るのが、認知症の高齢者が認知症の家族を介護する「認認介護」も少しずつ増えているという新聞記事でした。認知症は軽いうちなら自立した日常生活が可能なため、周囲も気づかないまま、軽い認知症の高齢者が重い認知症の配偶者を介護する・・・という構図ができあがるようです。
認知症に関しては、やはり社会全体の関心が高いのでしょうか。シンポジウムや市民講座が開かれる機会が多く、私も昨年から今年にかけて東京と大阪で各1回、足を運びました。いずれの講演も世界の最新情報などが話題にのぼり、興味深い内容でした。さらに、参加されている市民の方々の熱心さには、いつものことながら頭が下がる想いです。質疑応答コーナーで、60代とおぼしき女性がアメリカで使われているアルツハイマー病の治療薬の名前を挙げ、「日本で認可されるのはいつ頃になりそうですか?」と質問しておられたのには、待ったなしの家族の現状を感じました。
| 参加したシンポジウムや市民講座のパンフレットやレジュメです。シリーズ化されている市民講座もあり、毎回参加されている方も少なくないようでした。私ももっと参加できればいいのですが、仕事が忙しくてなかなか日程が合わず、残念ながら機会を逸しています。 |
国際福祉機器展のパナソニックブースには、今年も福祉機器や高齢者の自立をサポートする家電製品が展示されます。車いすやポータブルトイレ、介護ベッドなどの福祉機器はもちろんのこと、つい「機能」面や「性能」面で見てしまいがちなテレビや洗濯機といった日常的な家電製品も「使いやすさ」という面から見直せば、「老老介護」や「認認介護」のご家庭に少しでも役立つポイントが見えてくるのではないでしょうか。そのためにも、たとえ小さな情報であっても、ブースで発見したことを発信していきたいと思います。
みなさん、ご無沙汰しています。9月24~26日に東京ビッグサイトで開催される国際福祉機器展を担当するライターのmakoです。
私がCyber Showcase Blogに参加するのは昨年12月のエコプロダクツ2007のリポート以来ですから、およそ10ヵ月ぶり。その間、minoさんやhiroさんが世界中を駆けめぐり(?)、展示会の様子を伝えてくださっていました。特にminoさんはほんの1週間前までベルリンでIFA 2008のリポートを発信されていて、帰国も早々に、来週はケルンにphotokinaのリポートに飛ばれるとのこと。また、国際福祉機器展の1週間後にはCEATEC JAPAN(最先端IT・エレクトロニクス総合展)2008が開催され、hiroさんがリポートしてくださいます。他のライターさんに負けないように、私も熱いリポートを届けたいと思います。
さて、私が国際福祉機器展をリポートするのは、実は今年で3回目。1回目は来場者の多さと会場の熱気にただただビックリ。2回目はパナソニックブースだけでなく、展示会場内を見て回る余裕ができました。3回目ともなれば、過去2回との違いをいろいろ感じることができるのでは・・・? と、期待しています。また、今年10月1日には松下電器産業株式会社がパナソニック株式会社へと社名を変更します。長い歴史を持つ社名の変更が目前に迫っているわけですが、この時期にどのような情報が発信されるのか、注目したいと思います。
国際福祉機器展開幕まであと2週間あまり。今からとても楽しみです。


